Photo: Taku Matsuda
ドイツ・ベルリンを拠点に活躍するステファン・マルクスは、優れた観察力によって日常生活を切り取ったユーモアあふれる知的なドローイングや手書きのタイポグラフィが特徴のアーティストです。彼の作品は、アーティストブックやキャンバス、Tシャツ、レコードカバーなど多様なメディアを通じて広く知られ、世界中の人々を魅了しています。NievesやTonini Editoreをはじめとする出版社から定期的にアーティストブックを刊行し、アートブックフェアにも積極的に参加するマルクスは、国際的なインディペンデント出版における重要人物のひとりです。
ドイツ語で「小冊子」を意味する「Die Hefte」と名付けられた本展では、2003年から現在までにマルクスが手がけた約90冊のアーティストブックやZINEを時系列で展示いたします。一堂に集められたコレクションを通して、彼の自由で遊び心あふれる表現の世界を感じるとともに、本というメディアの多様な表現の可能性を垣間見ることができるでしょう。また、マルクスとキュレーターのリバティ・アドリアンとのコラボレーションによる「Liberty Flower Shop」も展示します。花をモチーフとしたイラストがスクリーン印刷され、花の形に手作業でカットされたものを好きなようにリボンで綴じた、まるでブーケのようなアーティストブックをご覧いただけます。
本展に合わせ、マルクスの刊行物の表紙をすべて収録した『Die Hefte ステファン・マルクス アーティストブック大全』をTABFより刊行いたします。
ステファン・マルクス
1979年生まれ。現代アーティスト。音楽やZINE、旅、サブカルチャーから多くの影響を受けており、シンプルでありながらも表現力豊かな線描画や手書きの文字などの作品は、鋭い観察力で私たちの生活をユーモラスに切り取る。アーティストブック文化との関わりも深く、多くのアーティストブックやZINEを出版社から刊行するだけでなく、自費出版も手がけている。コム・デ・ギャルソンやThe Ennoy Professionalなどのファッションブランド、ミュージシャンやレコードレーベルとのコラボレーションも行う。マルクスの作品はギャラリーやアートフェアなどでも展示されており、アート、ポップカルチャー、ユースカルチャーを融合する影響力のある人物。