Illustration: Yoko Nakayama
ドイツにおける現代のアートブックシーンを紐解く展示「Doitsu Art Buchmarkt」には、アーティストのステファン・マルクス、ベルリンのアートブックフェア「Miss Read」を主宰し、自らもアーティストであるミハリス・ピヒラー、キュレーターの中島点子、クリエイティブエージェンシーの「Studio Yukiko」、書店「do you read me?!」がセレクトしたアートブックやZINEが並びます。それぞれ異なる視点で選ばれたコレクションを通して、ドイツのアートブックの多様な表現に触れていただける機会を創出いたします。
<キュレーター>
ステファン・マルクス
1979年生まれ。現代アーティスト。音楽やZINE、旅、サブカルチャーから多くの影響を受けており、シンプルでありながらも表現力豊かな線描画や手書きの文字などの作品は、鋭い観察力で私たちの生活をユーモラスに切り取る。アーティストブック文化との関わりも深く、多くのアーティストブックやZINEを出版社から刊行するだけでなく、自費出版も手がけている。コム・デ・ギャルソンやThe Ennoy Professionalなどのファッションブランド、ミュージシャンやレコードレーベルとのコラボレーションも行う。マルクスの作品はギャラリーやアートフェアなどでも展示されており、アート、ポップカルチャー、ユースカルチャーを融合する影響力のある人物。
中島点子
ドイツと日本のバックグラウンドを持つキュレーター。2021年からキュレーターとして活動をはじめ、翌年からGalerie Tenko Presents をスタート。拠点を持たず、世界各国にある様々なスペースで展覧会を企画しているノマドギャラリー。東京を始め海外でのオフサイトの展示を通じて、インターナショナルなアーティストを紹介。この新たなモデルで、日本とグローバルのアートシーンをつなぎながら、従来のギャラリーモデルを問う。最近の展示では、ビリー・コールハースト(Billy Coulthurst)、クンバ・サンバ(Coumba Samba)、山本靈樹、モラグ・キール(Morag Keil)、ニコラス・セカルディ(Nicolas Ceccaldi)、トマ・キャプドヴィル(Thomas Capdeville)などのアーティストの作品を紹介しました。また、今年のArt Collaboration Kyotoではクララ・リデン(Klara Liden)、ペーター・フィッシュリ(Peter Fischli)、エミリー・サンドブラッド(Emily Sundblad)、アラン・マイケル(Alan Michael)らの作品を展示し、メキシコのMaterial 2024などのアートフェアにも参加。
Studio Yukiko
Studio Yukikoは、ミシェル・フィリップスとヨハネス・コンラッドによって設立されたベルリンを拠点とするクリエイティブエージェンシー。商業および文化的なクライアントを持ち、クリエイティブディレクション、アートディレクション、ブランド戦略、コンセプト開発、グラフィックデザインを手がける。リサーチの際は、現代的なビジュアルストーリーテリングの手法を常に実験的に取り入れ、プロジェクトに関わるオーディエンスについてより深い理解を促す。Studio Yukikoによる作品は、D&AD、ADCドイツ、TDCニューヨーク、Lead Awardsなど、数々の賞を受賞している。
do you read me?!
2008年にベルリンで創業し、国際的にも有名なdo you read me?!は、本や雑誌好きにとってオアシスのような書店。この小さな書店の素晴らしい品揃えは、印刷物の愛好家たちの多様な好みに応えている。アート、写真、デザイン、タイポグラフィー、ファッション、建築、文学、音楽、映画、フードなどに関するさまざまな出版物が並ぶdo you read me?!では、現代のインディペンデント出版の素晴らしい眺めを目にすることができる。
ミハリス・ピヒラー
コマーシャルギャラリーのシステムから独立して活動するアーティスト。「Miss Read」と「Conceptual Poetics Day」の創設者兼ディレクター。本の形態をした作品を数多く出版している。キャンバスをアート作品のページとして 用いたり、それとは逆に本のページをキャンバスに見立てたりするほか、「Objet perdu(失くし物)」や両面コラージュといった 技法を考案した。近年共編した書籍に『Decolonizing Art Book Fairs』(Afrikadaa/Mosaiques/Miss Read、2021)や『WAVES: Radio as collective Imagination』(Miss Read、2024)、編集を手がけた書籍に『IDEA POLL』(Miss Read、2021)や『Coup de Dés(Collection)』(Spector Books/CBA、2024)などがある。またモノグラフがSpector BooksとPrinted Matter, Inc. より共同出版された。