ドイツにおける現代のアートブックシーンを紐解く展示「Doitsu Art Buchmarkt」には、5名のキュレーターたちがセレクトしたアートブックやZINEが並びます。ここではキュレーターたちに、それぞれの活動やセレクションについて話を聞いてみます。続いてドイツで生まれ、2021年から世界各国にある様々なスペースで展覧会を企画しているノマドギャラリー「Galerie Tenko presents」をスタートした中島点子さんを紹介いたします。

 

今回の展示のためにドイツ出身またはドイツで活動する作家のアートブックを選んでいただきましたが、セレクトのポイントを教えてください。

 

私は特に自身の好きなアーティストの本を中心に選んだ。その中には、親しい友人であり、これまで「Galerie Tenko Presents」で作品を展示したことが あるヴァレリー・ヘアクロッツ、クララ・リーデン、エミリー・スンドブラッドのようなアーティストの本も含まれている。 また、カイ・アルトホフやポール・テックのような、日本ではなかなか目にすることがない出版物も選んだ。そして母と一緒に過ごしたベルリン生活を記録してる花代の本も揃えている。自身はドイツで生まれ育ったからか、好きなアーティストや本はドイツ関係ばかりだと気づいた。 


ー 2022年に場所を持たないギャラリープロジェクト「galerie tenko presents」を設立されましたね。設立の経緯を教えてください。

 

このプロジェクトはとても自然な流れで始まった。というのも私はアーティストに囲まれて育ちそれが当たり前の環境だった。彼らと共に働き、展示を企画し、新しい人々とつながり、旅をすることは自分のアドバンテージであるとも感じている。そして自分が感動することをみんなと共有したいと強く感じるし、日本と国際的なシーンをつなぐことが自分の使命だと思っている。


ー ベルリンには多くのアーティストが集まり、そのことがこの街をユニークなものにしてきたと思います。点子さんは13歳までベルリンに住んでいましたが、点子さんにとってベルリンとはどのような街でしょうか?また、東京とベルリンの2都市の相違点やそれぞれの特徴を教えてください。


私にとってベルリンも東京もどちらも故郷。ベルリンは急速に変化していますがその中にも自分にとっては馴染み深さがあり私を安心させる。東京と比べるとベルリンの率直さや緩やかに流れる時間を恋しく思うこともある。東京は高層ビルの脇にバラックの飲み屋街があったり今と昔が無作為に混在していて、とにかく大きくて全てにおいてアノニマスな感じがとても好きです。


ー 日本のオーディエンスに向けて一言お願いします。


私のお気に入りのアーティストをアートブックフェアで紹介できることをとて も楽しみにしています。