ひとつの国に焦点をあて、その国の出版事情や文化を包括的に見せる企画「Guest Country」。今年は南アメリカ、ブラジルを紹介します。サンパウロで開かれるアートブックフェア「Feira Plana」には、約150 組のブックメイカーたちが集い、シーンは盛り上がりを見せています。このたびは、「Feira Plana」ディレクターであるビア・ビテンクールを招き、彼女によるふたつの企画展を開催するほか、ブラジルのインディペンデント出版社10組がそれぞれのアーティストブック、写真集、ZINEなどを展示販売します。日本では接する機会の少ないブラジルのアーティストブック文化をご紹介します。
こんにちは。私はビア・ビテンクールです。サンパウロで「Faira Plana」というアートブックフェアを年に一度開催しています。THE TOKYO ART BOO FAIRに参加するために、アーティスト1名、出版社10組とともにブラジルからやってきました。ここに並ぶ展示作品は約1万8500キロに及ぶ距離を超えて東京にたどり着きました。インディペンデント出版社たちは、大きなカバンを抱えて24時間のフライトに乗り込み、たくさんの書籍を持ってきました。みなさまとの対話を、心から楽しみにしています。
ビア・ビテンクール(「Feira Plana」ディレクター)
参加出展者: A Bolha Editora, Contra, Desenhomatic Ltda., Editora Madalena, Entrecampo, Lote 42, Mi, Meli-Melo Press, Pequod, Pingado Prés, Pipoca Press, Plana Press, Savant, Vibrant Editora
*すべての出展者は、International Sectionに出展しています。
後援:駐日ブラジル大使館
関連イベント:9月16日(金)17:30-18:30
PRESENTATION: 「Sentimental Selection」について
出演:ビア・ビテンクール(「Feira Plana」ディレクター)
参加費:無料
Exhibitions
Estrada: Sentimental Selection
ビア・ビテンクールが選書するセクションには、ブラジルの革新的なアーティストや反体制的なキュレーターによる、政治問題に関するイメージや言葉が収められた本たちが並びます。
ゲリラ的かつ実験性に満ちた多種多様な作品は、ブラジルの地図が印刷された真っ赤な布の上に置かれています。この布の下には、ブラジルで最も重要な輸送手段であるトラックが隠れていると想像してください。広大な土地を持つブラジルでは、道路が動脈のように張り巡らされ、その上をトラックが走り、大豆やスニーカー、ニワトリ、テレビなどが行き交っています。道路が不完全なところには、ニワトリもテレビも届きません。ときには、一足のスニーカーのために誰かを騙したり、あるいは大豆を独占するために制度を腐敗させる人たちもいます。ブラジルは、このようにモノが移動し、コミュニケーションが生まれ、活動を続けているのです。ここにある書籍に印刷されたイメージ群は、ブラジルの現在の一端を巧みに語ってくれることでしょう。
Desenhomatic Ltda.
アーティストのファビオ・ジンブレス(Fabio Zimbres)とジャカ(Jaca)は、ブラジルで「DESENHO TERRÍVEL(酷い絵)」という絵のジャンルを確立したコミックアーティストです。彼らの作品は、混沌としたブラジル文化へのレスポンス、もしくは観察的記録といえます。
「Desenhomatic Ltda」は、そんな二人による架空の組織です。1990年代初頭にサンパウロで出会い、様々なフェアや展示に参加し、その場でZineを作る活動を始めます。例えば、あえて不完全な状態に印刷したZINEに手描きのドローイングを加えたりするなど、世界に一冊しか存在しないユニークピースの印刷物をたくさん作ってきました。個々の活動と並行しながら、「Desenhomatic Ltda」としてのコラボレーションも続けてきた二人による、ドローイングやアートブック、Zineを展示します。