Photo: Takashi Homma
ムーミンの生みの親として、日本でもよく知られるトーベ・ヤンソン。1914年にリベラルな芸術家の両親のもとに生まれ、創作が常に身近にある環境で育ったトーベは、7歳で「トーベ出版」を立ち上げ本を出版し、その後も出版社から数多くの絵本や小説を出版しました。
TABFでは、フィンランド、ヘルシンキ在住のトーベ・ヤンソンの研究者、翻訳家である森下圭子をキュレーターに迎え、これまで刊行された絵本や資料などを一堂に集め、トーベを「本を作るアーティスト」としてご紹介します。またセレクションには、トーベによる日本版の印刷物や資料なども含め、トーベと日本の強いつながりにもフォーカスします。
さらには、トーベとパートナーのトゥーリッキ・ピエティラが20回以上の夏を過ごしたサマーハウスがあるクルーヴハルを始めとする群島の美しくも荒々しい自然、またそこに生えるキノコを捉えたホンマタカシによる写真を展示。トーベを長年追い続けている森下が「トーベを探すのでなく、トーベの眼差しを感じる作品」と語るホンマの写真を通して、トーベの視点を感じながら彼女の軌跡や思考を巡り、独自の世界観と北欧の魅力に迫ります。
また、ホンマの写真と森下が群島にまつわるさまざまなエピソードを執筆したエッセイを収録する作品集『群れた島々と キノコたち』もTABFの開催に合わせて刊行します。
協力:株式会社講談社、横川浩子、株式会社キュレイターズ
関連イベント
11月23日(木・祝)12:30-13:30 映画「トーベ・ヤンソンの世界旅行」上映
11月23日(木・祝)14:00-15:15 Talk Event「日本とフィンランド、そしてトーベ・ヤンソンを巡る対話」森下圭子 x AYA IWAYA
11月26日(日)12:30-13:15 映画「ハル、孤独の島」
<関連書籍>
『群れた島々と キノコたち』
写真:ホンマタカシ 文章:森下圭子
アートディレクション&デザイン:脇田あすか
出版:TOKYO ART BOOK FAIR
ホンマタカシは、トーベ・ヤンソンとトゥーリッキ・ピエティラのクルーヴハルでの暮らしをドキュメントした映画『ハル、孤独の島』に感銘を受け、2016年にその島で撮影した写真をまとめた写真集『A song for windows』(LIBRARYMAN)を刊行しています。
その際もコーディネーションを務めた森下圭子とともに、今年9月にフィンランドの群島を再訪し、そこに生息するキノコや自然の姿を捉えました。本書には、ホンマが新たに撮り下ろしたそれらの写真と共に、森下が自身の群島での経験や、遊び心と冒険心溢れる島の人々の暮らしについて執筆したエッセイを収録します。
ホンマタカシ
2023年には『Thirty-Six Views of Mount Fuji』(MACK)、『TOKYO OLYMPIA』(Nieves)を刊行。2024年1月21日(日)まで、東京都写真美術館にて個展「即興 ホンマタカシ」を開催中。
森下圭子(来日予定)
1969年、三重県生まれ。ヘルシンキ大学でムーミンの研究をするために1994年秋、フィンランドヘ渡る。以降ヘルシンキに在住し、現在はコーディネーター、翻訳者/通訳者として活動している。「Tove’s Perspective」展のための撮影のコーディネートも担当。映画『かもめ食堂』ではアソシエート・プロデューサーを務める。主な訳書は、ミイのおはなし絵本シリーズ、『トーベ・ヤンソン 人生、芸術、言葉』『ムーミンとトーベ・ヤンソン 自由を愛した芸術家、その仕事と人生』など。