東京都現代美術館の周辺は、カフェが多いことで知られる街。そのほかにも、本やアート、下町など、いろんな顔があるんです。今回は、TABFの“NEIGHBOURS(ご近所さん)”として紹介しているスポットのなかから、いくつかのお店を紹介していきたいと思います。

 

トーキョーバイクに乗って、清澄の街へ。

 

清澄白河駅を降りて向かったのは、TOKYOBIKE の旗艦店「TOKYOBIKE TOKYO」。こちらではフェア期間中、会場で配布されるハンドアウトを提示すれば自転車を借りられる、フリーレンタルサービス が実施されます。今回は、TABFスタッフも自転車をお借りして街を巡ることに。

 

  • 「TOKYOBIKE TOKYO」

 

倉庫を改装した「TOKYOBIKE TOKYO」に入ると、スペイン広場のような大階段が店の奥へと続く、ダイナミックな空間が広がっています。トラフ建築設計事務所が設計を手掛けた店内には「ARiSE COFFEE ROASTERS」の2号店「ARiSE COFFEE PATTANA」もあり、近所の方がコーヒーを買いに来たり、建物を見に来るお客さんがいたりと、オープンな雰囲気。今回はスポーツバイク初心者でも乗りやすい「TOKYOBIKE BISOU」をお借りしました。さっそく、自転車に乗って出発です。

 

「THAI MAKIN CUISINE」と「NANDHINI」でアジアンランチ

 

まずは腹ごしらえを。この日はタイ出身のナムちゃんことナムケット・モンチュリーさんと木下歩美さん夫妻が営むタイ料理店「THAI MAKIN CUISINE」へ。二人はニュージーランドで出会い、2020年にこの地に店を開いたそう。時計の針が正午を過ぎると、常連さんが入れ替わり立ち替わりやって来ては気さくに挨拶を交わし、ランチを楽しんで帰っていきます。地元の人に愛されている店ということが伝わってきました。フェア期間中は、TABFの出展者や来場者のお客さんも多いのだとか。この日の日替わりランチはカオマンガイ。タイから直輸入したハーブや調味料を使用した料理は、本格的でありながら甘すぎず、辛すぎず、優しい味でした。

 

  • 「THAI MAKIN CUISINE」

 

ランチといえば、南インド料理の名店「NANDHINI」も、ぜひ。東京都現代美術館から歩いて5分とあって、同館の学芸員さんもTABFのスタッフも、幾度となく訪れているお店です。おすすめは、色とりどりのカレーをご飯に混ぜながら食べる定食「ミールス」と、米と豆でつくるパリパリのクレープ「ドーサ」。「NANDHINI」のドーサはチリオイルが効いていて、ピリッと辛いのが特徴。平日のランチで食べられるドーサには、マッシュされたポテトマサラが入っています。辛さ控えめにすることもできるので、苦手な方は相談してみてはいかがでしょうか。

 

  • 南インドの定食、ミールス。3種のカレー、バスマティライス、ポロッタ、オムレツ、ポリヤル、ヨーグルト、パパドがセットに。

 

「しまぶっく」から「リカシツ」を巡って下町散歩

 

ランチの後は、清澄白河駅と東京都現代美術館の間をつなぐ道程にある深川資料館通り商店街へ。通りには、江戸名物「深川めし」の専門店や和菓子屋、カフェ、レストランなど、新旧のお店が並んでいます。2010年にオープンした「しまぶっく」は、店主・渡辺富士雄さんとのお話も楽しく、つい長居してしまう古書店。この街について尋ねると「下町なんだけれど東京都現代美術館もあって、不思議な街ですよね。うちも江戸時代から現代美術、洋書まで幅広く並ぶ、街のニーズが反映された選書になっています」と、話してくれました。

 

  • 「しまぶっく」

 

理化学ガラスの専門店「リカシツ」は商店街の表通りを外れて、数ブロック西へ行った所にあります。研究所や学校に理化学用品を卸す関谷理化株式会社がプロデュースしており、フラスコやビーカーのほか、家庭用蒸留器「リカロマ」などのオリジナル製品も扱っています。店長の関谷りかさんに話を聞くと、日本橋に本社を構える同社では、下町に点在する職人さんたちと、昔からものづくりを行ってきたといいます。

 

「ガラス職人さんたちは、若手は60代、上は80代で現役という世界なんですね。その職人さんたちにいつまでも元気でいてもらうにはどうしたらいいかというところからスタートして、理化学ガラスをより多くの人に知ってもらうために開いたのがリカシツです。この店がある通りにも椎名切子さんという江戸切子の工場があって、リカシツの製品を加工して頂いているんですよ」。そう聞いて手作業で加工された製品をよく見ると、ガラスの蓋と器の口がぴったり合うように磨られていたり、取っ手が熱加工によって精巧に取りつけられていたりと、職人さんの技に関心させられてしまうのでした。

 

  • 「リカシツ」店長の関谷りかさん。

 

斜向かいにある「椎名切子」の工場を訪ねると、日本で唯一の女性の平切子職人・石川美幸さんにお会いすることができました。ここは1950年から続くガラス加工専門工場。独自の加工技術を生かし、オリジナルの「反射する江戸切子」を作っています。工場では、創業当時と変わらない研磨機が現役で稼働していました。下町の奥に一歩入ると、思いがけず東京に息づいてきた伝統と今を垣間見ることがあって、隠れたルーツを見つけたような、うれしい気持ちに。

 

個性的なショップが集う「リトルトーキョー」

 

「KINOKO SOCIAL CLUB」

 

レトロなタイル貼りのビル「リトルトーキョー」は、求人メディア「日本仕事百貨」を運営する株式会社シゴトヒトが手がける複合施設。レストランや日本仕事百貨のオフィス、イベントスペース、コーヒーとお酒を楽しめるシェアカウンターが入っています。

 

キノコをテーマにしたファクトリー&カフェ「KINOKO SOCIAL CLUB」は、2025年5月にオープンしたばかり。なんと、店内でキノコを栽培、収穫、料理して提供しています。都市では見えづらい“食の循環”を見せる場にしてきたいという思いから、キノコ栽培には、近隣のカフェ「ALLPRESS ESPRESSO TOKYO ROASTERY & CAFE」と「+Angle coffee works」のコーヒーかすを利用しているそう。

 

この日はシェフの石田青葉さんに、季節限定の「ビッグオイスターマッシュルーム フリットバーガー 夏のトマトサルサ」をつくっていただきました。(バーガーのメニューは季節によって変わります。)レシピは上階にある「the Blind Donkey」の曽根浩貴さんと石田さんが開発。外はカリッと、中は柔らかく揚げられたキノコフリットにサルサソース、パンのしっとりとした食感が相俟って、新感覚のおいしさでした。ランチはもちろん、ちょっと小腹が空いたときや、飲みたいときにもおすすめのお店です。

 

  • シェフの石田青葉さん。目の前でフリットを揚げて、できたてを提供して貰えるのがうれしい。

 

そのまま2階へ上がり「the Blind Donkey」を訪ねると、シェフの曽根浩貴さん、藤田颯一郎さん、小泉虎之介さんがディナーの仕込みをしているところでした。こちらでは、自然に寄り添い、有機的な方法で生産された食材からインスピレーションを受けた料理が食べられます。店内は木の温もりが感じられる、リラックスした空間。夜はさらにいい雰囲気になりそうです。人気店につき、フェア期間に訪れる際はご予約を。

 

  • 「the Blind Donkey」

 

「Allpress Espresso Tokyo Roastery & Cafe」「Blue Bottle Coffee」……どこのカフェへ行こう?

 

「Allpress Espresso Tokyo Roastery & Cafe」

 

カフェで休憩を、となったら選択肢がありすぎて迷ってしまう清澄白河・木場。「Blue Bottle Coffee」の日本第1号店や、築60年のアパート兼倉庫をリノベーションした「fukadaso café」など、魅力的なカフェがたくさんあります。ニュージーランド発のスペシャリティコーヒーロースター「Allpress Espresso Tokyo Roastery & Cafe」は、材木倉庫をリノベーションした、木張りの外装が目印。店内に入ると、ガラス越しに見えるロースタリーに圧倒されます。おすすめは、エスプレッソをお湯で割った「ロングブラック」やエスプレッソとミルクの調和を楽しめる「フラットホワイト」。いずれも、バリスタの方が一杯一杯、丁寧に淹れてくれます。

 

  • 「Allpress Espresso Tokyo Roastery & Cafe」

 
先に訪れた「リカシツ」の関谷さんからお聞きした話なのですが、この辺りでは昔、川を利用して木材を運搬しており、木材問屋が集中していたことから「木場」と言われるようになったのだとか。かつてあった木材問屋のほとんどは時代の流れとともに商売の形を変えていったようですが、ここ数年は、天井高のある倉庫に焙煎機を搬入しやすいとあって、ロースタリーが増えたのだそうです。開放感のあるインダストリアルな雰囲気とコーヒーという組み合わせは、木場ならではの風景なのかもしれません。

 

「CAN-PANY」で、できたてのドリンクを。

 

最後は、ハーブや果実から蒸留酒をつくる「mitosaya薬草園蒸留所」が運営するボトリング工場「CAN-PANY」へ。ノンアルコール飲料のレシピ開発から製造、原料加工、充填まで行っており、小ロットでも発注できます。自分でオリジナルのドリンクをつくるなんて楽しそうですね。レシピやラベルデザインにこだわるものづくりは、本づくりに通じる側面も。工場内にはドリンクバーもあり、できたてのドリンクを飲めるようになっています。こちらのお店はフェア期間中は休業しているのですが、東京都現代美術館内のOUTDOOR LOUNGEに出店予定。「CAN-PANY」をはじめ、様々な作り手によるキッチンカーが並ぶので、ぜひ合わせてチェックしてみてください。
 

  • 「CAN-PANY」

 
街を巡っていたら、あっという間に夕方。もう自転車を返却する時間です。TOKYOBIKEの乗り心地は、軽くてスムーズで、この辺りはアップダウンがないということもあり、快適でした。お店が広範囲に点在する清澄白河・木場は、自転車があると、「もっといろんな所に行ってみたい」とわくわくしてくる街です。「TOKYOBIKE TOKYO」店長の本多翔さん、そしてこの日お話を聞かせてくださった皆さん、ありがとうございました!

 

フェア期間中は、美術館の中にも外にも、おすすめのスポットがたくさん。「NEIGHBOURS」の全店はこちらで紹介しています。TABFとともに、街の魅力を感じていただけたらうれしいです。

 

 

「TOKYOBIKE」のスタッフの皆さんと店長の本多翔さん(左から二人目)。