「Steidl Book Award Japan 2016」滞在制作レポート3

デザインの作業をしてもらっている間、基本的には待機時間となります。1回の打ち合わせ時間が毎回15分程度なのに対して、数時間、長いときには朝から夕方まで待機していることもありますが、打ち合わせの時間は流動的なため、基本的にはSteidlから離れることはできません。Steidlではその時間も快適に過ごせるようなゲストへの心配りが行き届いています。

 

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 待機するのはライブラリーか宿舎の「Steidlville」で、宿舎にいるときにも連絡があった時にすぐに打ち合わせに臨むことができるように本社のすぐ隣に位置し、内線で繋がっています。各部屋には「Joseph Beuys」や「Karl Lagerfeld」「Ed Ruscha」など、Steidlにゆかりのあるアーティストの名前が付けられ、リビングルームとベッドルームにはそのアーティストの作品が飾られているのが特徴で、キッチンも併設。自宅で過ごしているのような居住性の高い環境が提供されているので、制作期間中はストレスなく滞在をすることができます。

 ライブラリーにはダイニングが併設されていて、ここでは専属のシェフによるランチが提供されます。さまざまな国から滞在しているゲストが毎日14時に集合し、それぞれにどんなことをしているのか、Steidlとは何を作っているのか、どんな風に制作が進んでいるのかなどを話題にしながら一緒に食事をする時間になりますが、この国際色が豊かな食卓も世界中でさまざまなプロジェクトを進行しているSteidlだからこその体験かもしれません。

 

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ランチを挟んでそれぞれにライブラリーで数時間を過ごすうちに、ホルガーとダンカンが修正した本文のデザインと表紙のラフデザインを持ってきてくれました。本文の編集についてはほぼ決定したので、次の段階ではインクジェットで実寸の出力校正を制作し、内容に問題がないか確認する作業に取り掛かります。この出力校正は数ページが単位になっている「折丁」も考慮した作りになっているので、手にすると最終的な仕上がりを感じることができる段階になってきました。

夕方近くになって出力校正が仕上がり、二人に手渡されました。今晩はこの校正を宿舎に持ち帰って、編集に変更すべき点がないか検討します。

 

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翌日、持ち帰った出力校正を最終確認し、二人ともこの2日間で検討してきた奥付やタイトルの入れ方などについて意見交換し、修正を加えるといよいよ本文はデザインが完了します。

二人のケースでは、本文のデザインができあがるまでのやりとりは8回ほど。作家が作品について多くを説明する機会は設けていませんが、常に作品コンセプトに基づいた精度の高いプランが提案されるので、結果として制作がとてもスムーズに進行して来ました。明日には早速、オフセット印刷機を使ったテスト刷りが行われます。

 

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