毎回、ひとつの国や地域に焦点を当て出版文化を紹介する企画「Guest Country」では、これまでにスイス、ブラジル、アジア(中国、韓国、台湾、シンガポール)を特集しました。10 年目を迎える本年は、世界のインディペンデント出版文化を牽引するアメリカをフィーチャー。いまでは世界各国で開かれるアートブックフェアは、1976 年に印刷物を用いたアート表現を積極的に行うアーティストらが設立した非営利の書店Printed Matter が、2006 年にNew York Art Book Fair をスタートしたことに始まり、アメリカには独創的で豊かなアートブック出版の土壌があります。その魅力を紐解くための企画のひとつが、本展「Radical Pages: A Selection of American Zines」になります。

 

 ニューヨークのアートシーンを牽引する写真家、レレ・サヴェリが主宰し、インディペンデント出版のプラットフォームとして機能する非営利のメディアコレクティブ、8-Ball Community。彼らはニューヨークの駅構内にあるキオスクにて、期間限定でZINEを販売するインスタレーション「The Newsstand」を展開し、その後はニューヨーク近代美術館(MoMA)を始めとする美術館を巡回したことで注目を集めました。ボランティアスタッフが中心となり、世界各地でインスタレーションや展示を開催したり、ラジオやTVなど独自のメディアを運営したりするなど、さまざまな活動を通してインディペンデント出版文化の発展に貢献しています。

 今回は、彼らのコレクションから厳選されたアメリカの歴史的に重要なZINE約150タイトルを展示いたします。世界中の若者たちが身近な表現のプラットフォームとしてZINEを積極的に制作するいま、アメリカに焦点を当て、その歩みを辿りながら現在地を探ります。会期中は、8-Ball Communityに所属する作家たちや彼らがお勧めするZINEを展示・販売する特別ブースも設置されるほか、ZINEを持参していただくと、彼らのコレクションに加えてもらえるエクスチェンジプログラムも展開いたします。

 

協力:16(Sixteen)

 

「Guest Country」のもうひとつの展示、「10 Years of The Thing Quarterly」の情報はこちら