20世紀以降、世界に点在するアーティストたちが作る、印刷物を表現のプラットフォームとして用いた作品「アーティストブック」は、時代とともに豊かな発展を遂げてきました。個々の作り手たちの革新的なアイディアが直接的に体現されたユニークな印刷物は、複製され移動しながら、ダダ、コンセプチュアル、ミニマルアートなどのムーブメントや印刷技術の進化などさまざまな要因との相互作用を繰り返しつつ、アート表現における新たな時代を切り開き、次世代に受け継がれてきたといえるでしょう。
本展では、現在の日本のアート出版シーンを牽引する日本人作家たちに焦点を当て、アーティストブックにおける原体験や魅力などを語った言葉とともに彼らの作品を展示いたします。それぞれの作家のルーツや解釈を通して、日本独自の発展を遂げた写真集や漫画文化、海外のアートムーブメントと連動した表現、インターネットの発展がもたらした変化など、日本におけるアーティストブックの多様な進化の軌跡を巡り、これからの本の表現を紐解く試みです。
参加作家(五十音順):河井美咲、川島小鳥、クリヨウジ、立花文穂、平野太呂、平山昌尚、ホンマタカシ、ミヤギフトシ、森山大道、山田愛子、横田大輔、横山裕一