近年、世界各国のアーティストたちの間で、理想科学工業株式会社が開発したリソグラフという印刷技法が人気を博しています。仕上がりにレトロな風合いがあり、色の組み合わせで遊んだり、薄い紙に刷ることができたりするのも多くのクリエイターたちを魅了するポイントとなっています。

TABFでは、東京を拠点とするリソグラフスタジオHand Saw Pressが企画する特別プログラムを展開します。現在のリソグラフシーンを牽引する二つのスタジオであるノルウェーでアートブックフェアを主催するpamflett、30年以上の歴史を持つオランダのKnust pressを招聘して展示を行うほか、上映会、トークショー、ワークショップを開催いたします。また、理想科学工業株式会社によるリソグラフ開発当時の貴重な記録写真をご紹介します。

 

参加スタジオ:Pamflett (Norway)  / Knust press (Netherland) 

企画:Hand Saw Press (Japan) / Tokyo Art Book Fair  

協賛:理想科学工業株式会社

 

Exhibition_1:Norway's Riso-Community

日本とほぼ同じ大きさの国土に対して、人口は約500万人であるノルウェー。この国のリソグラフコミュニティの特徴は、複数の小さなリソグラフスタジオが機械や情報を共有し、お互いに協力し合いながら、国外のアートブックシーンとつながりを作っている点が挙げられます。ノルウェー西部の港町ベルゲンを拠点とするpamflettは、コミュニティにおける中心的なリソスタジオです。TABFでは彼らを招聘し、2021年にNorsk Risoforening(ノルウェーリソプリント協会)が開催したリソグラフ作品展の一部を展示いたします。

 

Pamflett / ノルウェー・ベルゲンを拠点とするPamflettは、リソグラフ印刷に特化したスタジオです。年に一度「Bergen Art Book Fair」、不定期的に「Fanzinekveld」「Fanzine Library」を開催しています。Pamflettは、毎年異なるアーティストをスタジオに招聘して印刷物を共同出版しています。

http://pamflett.no

http://bergenartbookfair.no

 

Exhibition_2:Knust Press - 38 Years of Stencil Art

1984年、オランダで設立されたKnust Pressは、リソグラフ界におけるレジェンド的な存在のスタジオです。1980年代にスクウォット(不法占拠)した場所からスタートし、38年経ったいまでも先駆者であり続けています。現在、多くの若いアーティストたちがリソグラフやステンシルアートに魅了されているのは、彼らによる功績も大きいといえます。TABFでは、創業者のヤン・ダークが初来日し、Knust Pressがこれまでに制作したステンシルアートを展示いたします。

 

Knust Press / オランダ・ナイメーヘンにあるKnustは、印刷と製本のスタジオ。アーティスト集団のExtrapoolの活動拠点でもあり、自分たちの(政治的、批評的、芸術的)コミックや友人のアーティストブックを出版しています。孔版印刷の技術を専門とし、アーティストブック、ポスター、雑誌、コミック、フライヤー、アートプリントなど、あらゆる紙媒体の印刷から仕上げまでを行うことができます。A2サイズ機(7色)、A3/A3+サイズ機(50色)を含む8台のリソグラフマシーンがあります。データ作成、印刷、加工(製本、折り、裁断)までをサポートします。

 

 

Exhibition_3:リソグラフの歴史写真展History of Risograph」

理想科学工業株式会社は、1946年に謄写印刷業として創業。インクや製版機の開発を経て、1980年に誕生したのがデジタル印刷機リソグラフでした。その当時、多くの学校の先生たちが手を汚しながら謄写版や輪転機で子供たちの教材を印刷していた背景があり、コピー機のように誰でも簡単に使える印刷機を提供したいという創業者の想いから誕生しました。今では世界各国でアート制作のツールとしても使用されているリソグラフの開発にまつわる記録写真を展示します。

協力:理想科学工業株式会社